線形回帰のMAP推定による解を導出します。
線形回帰をMAP推定で解くで書いた通り、事前分布を多変量正規分布とし、訓練データは真値からの誤差が加わっていると仮定すると、ベイズの定理より事後分布は、
と書けました。今回はこの右辺を展開していきます。計算式は長くなりますが、難しい変形はありません。が共役事前分布*1であることを利用し、多変量正規分布の形になるように変形していくことがポイントです。
まずは単純に展開してみます。
ここで、ベクトルに対しての関係と転置行列の定理の式(1)より、、共分散の性質 (参考:多変量正規分布)を使って式変形していき、さらにの形にまとめれば、
と変形できます。ここで式(3)の最初の項に注目し、
と表すこととします。すると式(3)の2番目の項にをかけて
と変形できます。そして式(5)において
とすれば、式(3)は
のように書けます。最終的に多変量正規分布の形にもっていきたいので、平方完成の考え方で変形すれば、
となります。ここで、に無関係な項を定数として指数部の外に出してしまえば
となります。この形は多変量正規分布でした。よって、事後分布は、平均、共分散の多変量正規分布になります。(もともとベイズの定理を使って事後分布を求めていたのですから、計算に省略したなどを含めれば多変量正規分布の正規化項が定数倍として出ているはずです。)
さて、多変量正規分布が最大値をとるのは平均値ですから、事後分布を最大化するのはのときです。
*1:事後分布が事前分布と同じ形式の分布になる性質