概要
前回の記事の続きです。
訓練データが得られているとき、新たな入力に対するを求めること、つまりを求めることが目標です。*1 先回は、
におけるを計算したところまでです。今回は式(1)を計算していきます。
計算・・・
計算の方針は、が正規分布であるとき、もまた正規分布であるという性質を用いることです。この性質より、は正規分布でしたので、も正規分布となります。つまり、式(1)は、
の形で書けるはずです。正規分布の形は、との値がわかれば1つに定まりますので、式(2)の指数部だけに注目してみます。多変量正規分布の確率密度関数は、多変量正規分布の式(5)ですから、の指数部は、ガウス過程による回帰(1)の式(9)より、
です。そしての指数部はガウス過程による回帰(1)の式(8)より、
です。したがって、の指数部は、
となります。ここで、
とおいて、式(5)のの中を展開していくと、
となります。これを、の形にすればとが求まります。式(7)を平方完成すれば、
となります。よって、
です。
ここで、ガウス過程による回帰(1)の式(10)より、
でしたので、ブロック行列の逆行列の公式より、
となります。はスカラです。式(6)と式(12)より、
となります。は分散共分散行列ですから対称行列です。対称行列の逆行列もまた逆行列であることに注意。ここではベクトルですから、
ですので、
です。また、
です。
以上より新たな入力に対する分布が定まりました。予測値は分布の平均値とすればいいので、式(18)で求められることになります。
まとめ
さて、ここで
とすれば、予測値は、
と書くことができ、カーネル回帰分析の式(16)と同様に、カーネル関数定数で表すことができます。なんかいろいろやってきましたけど、正則化最小二乗法から導出しても、確率分布を導入して導出しても、係数の事前分布を設定して導出しても、結局たどり着くところは同じなんですね。
以下の記事で、この結果を用いて回帰の実験をしてみました。
※今回の計算は手持ちの参考書にはなく、多くを自力で行ったので、ところどころ厳密性を欠いていたりするかもしれません。
*1:、の条件の表記は省略しています